【被害会社の方々へ】訴訟を起こしてくる会社はどれぐらいあるか(脅しに驚かない、屈しない)

前回の投稿より1ヶ月程たちました。訴訟の話を書いてしまったので、逆に被害中小企業の方が状況を誤解して、驚かれる(怯えている)かもしれない、と思い至り、念のために記載しておきます。

このネット求人広告の悪質商法を取る業者は30社を越えているのですが、弁護士を立てて請求してくるのは10社程度です。そのうち、さらに実際に裁判まで起こしてくるのはごくごく一部でしかありません。400人を越える全国の弁護士からの情報提供を整理しても、実際はこうした業者の弁護士まで立てて今でも訴訟をしているのは2,3社です。(業者も、弁護士名も把握していますが、既に代理人を辞任したものもあり、また1人で複数社を代理している者もいるのでちょっと正確な表現が難しいですが)。

広告業者側の懐具合を考えれば、毎回自分たちが弁護士を頼むわけにはいかない、はずなのです。こうした業者の代理人となることの是非はおいておくとしても、請求(督促交渉)をしてもらうにも費用が数万円はかかります。また、実際に裁判を依頼するとなると、結構な金額を弁護士に払うことになります。そこから、(交渉にしろ、裁判にしろ)実際に代金が中小企業から支払われたとしても、成功報酬として弁護士に何割か支払う必要があり、彼らの儲けはどんどん減ります。その上、「契約書どおりだ」なんだと大義名分を言ってはいても、後ろめたいところがあるのはやっている本人達が十分分かっているはず。なので、裁判所で請求権を主張して裁判をする、ということはそれなりに彼らからしても弁護費用以外にリスクを伴うということがあります。

ですから、まず弁護士に請求交渉させるにも(こんな商法なのに)引き受けてくれる弁護士を見つけないといけない、上に弁護費用が発生するということがあります。さらに、裁判ともなると、更にそこまで引き受ける弁護士を見つける、更に弁護費用もかかる、に加えて裁判所からいろいろと突っ込まれるリスクを負うという危険が彼らにもあるのです。

例え、全てをクリアして裁判までこぎつけても、実際に裁判所が満額の請求を認められるわけではないことは、広告会社側はよく分かっています。すなわち、各地の弁護士の地道な努力により、新聞報道やテレビ報道もされるようになってきましたし、ちゃんと中小企業側も弁護士を立てて争われてしまうと、裁判所は「契約書はそのとおりになっていても、いろいろ問題がある」として広告会社側の勧誘の不備を指摘して、大きく減額を求められる可能性が高いのです。彼らは自分たちの商法に後ろめたいことがあるのは分かっていますから、裁判所を怒らせてまで和解を拒否するのは簡単ではありません。その結果、裁判までしても請求額が1/4とか1/5になってしまいがちで、そこから先の自分の弁護士の費用を支払うと、殆ど儲けはなくなってしまいます。実際、全国の弁護士のML投稿で得た情報では、複数の和解でこちらも弁護士を付けてちゃんとした反論をしていると請求金額がこれぐらいにまで削られているのです(10万円程度)・・・・だから、「訴える」と言って脅して、訴えることなく(自分たちは弁護士を雇うこともなく)、中小企業側に安くするので(あなたたちも弁護士に頼んだら弁護費用がものすごく取られる~、裁判するとあなたたち会社も弁護費用で体力が持たないから~等と適当なことを言って丸め込み)和解しよう、と持ちかけてくる手法を多用してくるのです。それでなんとかならなかったら、自分たちが弁護費用の負担とそれなりのリスクをかけて裁判をするか、それとも諦めて次のカモを探すか、の選択を彼らも迫られることになります。どちらに多く流れるかは明白でしょう(このあたりは、殆どオレオレ詐欺や架空請求で、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式をやっている人たちと同じ思考と判断になります)。

ですから、相手が「訴える」とかなんとか言って凄まれても怯える必要は全くありません。まずはちゃんとこちらも地元の弁護士会などを通じて消費者事件などに詳しい弁護士に相談をして、冷静に対策を練って下さい。多少の費用はかかりますが、彼らの請求からすれば微々たるものです。弁護士を利用されたことのない方は費用が不安かも知れませんが、個別のアドバイスを受けるならホント少額ですし、不安なら内容証明で拒絶対応をしてもらうだけでも、まずは十分です。それぐらいで、広告業者が脅すような高額な費用がかかるわけではありません。それで安心して対処ができるようになるなら損するはずがないのです。またもし、運悪く訴訟をしてくるごく少数の業者にあたったとしても、その場合には相談している弁護士から弁護士会の消費者委員会等を通じて当職にご連絡いただければ、その先生を先の全国の弁護士MLに加えてさせていただき、情報提供をすることもできますから、その先生にこのブログの存在をお伝え下さい。

(なお、このMLは広告業者側のなりすまし参加を避けるため、弁護士のみの参加とさせていただいています。ご了承下さい)









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